小倉動物病院 日曜診療・予約診療、北九州市小倉

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胆嚢粘液嚢腫

Date:2015年7月3日

胆嚢内に糖タンパクを主成分とする粘液様物質(ゼリー状の物質)が貯留して胆嚢が拡張する病気です。無症状のこともありますが、胆嚢内容物(ゼリー状物質)により総胆管が閉塞すると、黄疸が認められ、多くは元気食欲低下、嘔吐などの症状が認められます。なお胆嚢破裂や総胆管の破裂を起こすことも多く、これらを合併すると症状がさらに重篤化することがあります。

 

<症例>

シー・ズー、去勢雄、14歳、体重4.5kg。昨日からの頻回嘔吐と食欲廃絶を主訴に来院。身体検査では可視粘膜に黄疸を認めた。聴診では左心尖部にてLevineⅢ/Ⅵの収縮期性雑音を認めた。血液学的検査では左方移動を伴った総白血球数の増加を認め、血液化学検査では総ビリルビン、肝酵素、総コレステロール、CRPの上昇、カリウムの低下を認めた。腹部レントゲン検査では肝臓の腫大と腎臓内に不透過陰影を認めた(図1)。腹部超音波検査では、胆嚢内に胆嚢粘液嚢腫を疑わせる放射状の高エコー像を認め(図2)、さらに総胆管の拡張も認めた(図3)。心エコー検査では軽度の僧房弁閉鎖不全症を認めた。

以上より胆嚢粘液嚢腫による総胆管閉塞と診断し、入院下にて内科的治療を1日実施した後、手術を実施した。腹部正中切開にて開腹すると肝臓および胆嚢は腫大していた(図4)。胆嚢を肝臓から剥離した(図5)後、切開し、ゼリー状の胆嚢内容物を摘出(図6)後、8Fr栄養カテーテルを胆嚢切開部より挿入し、総胆管の洗浄を実施した(図7)。この後、胆嚢を切除(図8)し、肝生検を行い(図9)、腹腔内洗浄後(図10)、定法に従い閉腹した。病理組織学的検査にて、胆嚢は壊死、肝臓は化膿性炎症であった(図11は摘出した胆嚢とその内容物)。術後の経過は良好で、総ビリルビン、肝酵素などは漸次改善傾向を示した。術後3日には食欲を認め、術後7日に退院とした。術後約1年が経過するが、良好に推移している。

胆嚢粘液嚢腫 図1胆嚢粘液嚢腫 図2

診療時間

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