動脈管開存症
先天性(生まれつき)の病気で、胎生期に存在する大動脈と肺動脈をつなぐ動脈管という血管が生まれた後も残ってしまっている病気です。これにより、大動脈から肺動脈へ血流が短絡してしまいます。初期は症状がないことが多いですが、病態が進行すると、運動不耐性や咳、呼吸速迫などの症状が現れ始めます。治療しなければ1歳までの死亡率は60~70%にも上るといわれています。早期発見・治療が重要となります。
<症例>
マルチーズ、雌、2カ月齢、体重750g、体温38.8度。ワクチン接種での来院時、聴診にてLevineⅣ/Ⅵの連続性雑音を確認。各種検査より、動脈管開存症と診断し、初診から3日後に手術を実施。
左側第4肋間にて開胸後、ジャクソン・ヘンダーソン法にて動脈管を結紮。術後、動脈管内の血流は消失し、経過良好に推移。
図1、2:心エコー(左傍胸骨大動脈起始部短軸像)。大動脈から肺動脈へ短絡する連続性血流を確認。
図3、4、5:手術時所見。図3は動脈管の頭側と尾側で大動脈に2-0ナイロンブレード糸を通したところ。図4は動脈管に糸を通したところ。図5は動脈管を結紮したところ。
図6:術後の心エコー(右傍胸骨大動脈起始部短軸像)。短絡血流の消失を確認。